「今になってこの話の続きを書こうと思うとはなあ」
「何がいいたいの?」
「時代アニメの定義は拡大でき、実は意味があるのではないかと気づいた」
「具体的に教えてくれよ」
「鋼の錬金術師というアニメはほとんど見ていないが、劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者はテレビで見てぶっとんだ。これは凄いぞ」
「どう凄いの?」
「鋼の錬金術師というのは、基本的に架空世界のファンタジー話なのだ。それゆえに、それほどは評価していない」
「うん」
「ところが、この劇場版というのは、主人公が異世界に飛ばされた後の話であり、飛ばされた異世界というのは我々の実際に生きている世界であり、ナチス勃興期のドイツなんだよ」
「おっと。それは大幅に違うね」
「でも、ファンタジー世界と接続されてそういうものが入り込んでくるんだ」
「うん」
「しかし、これはマニアックだ。なぜなら、こういうファンタジーっぽい作品を作るなら、通常ナチスはただの悪役だからだ」
「違うの?」
「違うのだ。ナチスはまだ悪と位置づけるにはまだ弱い存在でしかない。時代の空気が凄く良く分かっている作品だ」
「そうか。時代の空気が分かっていて、しかもぶっとんでいるから、これも歴史アニメの条件を満たすわけか」
「本当に分かっているかどうかは知らないぞ。こちらも当時のドイツで生きてないからな」
「でも、確かに定義を拡大したくなるような話だね」
「あと、実は宇宙戦艦ヤマトもそうなんだ」
「どうして?」
「大和とは本来歴史上の存在であり、それを引っ張り出して宇宙を飛ばすことは一種の歴史ものなんだよ」
「SFものじゃなくて?」
「SFものではあるが、実は歴史ものという要素が強い」
「どういうこと?」
「たとえば、ドメル艦隊の艦載機は主に戦闘機、急降下爆撃機。雷撃機からなるけど、大和当時の平均的な機種構成なんだよ。宇宙時代として考えるとこれはあり得ない」
「なるほど。ヤマトは上も下もない宇宙戦艦としてはあり得ない形だね」
「そして、機種をそうやって分類することは当時としてはかなりマニアックなんだ」
「そうか。史実に関するかなり突っ込んだ知識がありながら、あえて宇宙というぶっとんだ舞台で作劇するからこれも歴史アニメっぽいわけだね」
「うん。宇宙零戦につい52型って書き足しちゃうぐらいのマニアックさだ」
「それで話は終わり?」
「それからさ。戦国BASARA。これもけっこう同じ流れに見えるね。かなりデタラメにぶっ飛んだ歴史ものなんだけど、凄くマニアックな歴史ネタを踏まえた設定も多いんだよ」
「腐女子向けミーハーアニメに見えるけどね」
「表面的にはそうだ。でも、意外なところに深みがある」
「その意外な深みが面白いところだね」
「そうだ。そこがやはりポイントなんだろう」